明治維新のカギは奄美の砂糖にあり 読者の反響

 

「青葉をゆらす風 エンジニアのひとり言」より

2010年06月02日

明治維新の見方が変わった

蒸留工学の権威である東京理科大学の大江修造先生が書いた本であることから、手にした本である。

蒸留関連の本『「蒸留技術」基礎のきそ 絵とき 「蒸留技術」基礎のきそ (Chemical Engineering Series)』、『蒸留工学 実験室からプラント規模まで (KS化学専門書)』、『設計者のための物性定数推算法』等では仕事でお世話になっているが、歴史の本を書かれていたとは驚きである。

奄美は沖縄文化圏に所属していて、文永三年(1266)から慶長十四年(1609)の三百四十三年間は行政上も沖縄の一員であったが、慶長十四年、薩摩藩の琉球征伐により分割されて薩摩藩の領地となった。このことが奄美の人間にとって極めて重要な意味を持つことになる。

 奇しくも、奄美の直川智が中国より持ち帰った砂糖黍の苗より、初めて砂糖を生産したときと、奄美が琉球より分割された時期が一致する。  <本文62頁>

大河ドラマ『龍馬伝』でも、幕末に諸外国が黒船で日本にやってきて日本を植民地化することを跳ね返すには海軍が必要だと熱く語られている。そして、そのために尽力した勝海舟、坂本龍馬らが評価されるのは、理解できる。

しかし、彼らが活躍するにも、資金が必要であるし、軍艦が必要である。

なぜ、あの当時に軍艦や大砲などが購入でき、薩摩藩で反射炉等の製鉄設備ができたのかというのが不思議であったが、この本を読んでその理由が分かった。

また、「宝暦の治水」での40万両の工事資金も奄美のおかげであることを知り、薩摩藩の平田靭負だけでなく、奄美の人々も中部地方の恩人であることを再認識した。

「宝暦の治水」そして「明治維新」での薩摩藩の資金源となり、物資、人材を輩出する原動力となった立役者が奄美の砂糖、そして人々であることが、紹介されても良いような気がする。

是非、今回の『龍馬伝』で紹介されることを期待している。

江戸時代の薩摩藩による琉球からの分割、砂糖の収奪等、教科書等では語られないこと。しかし、日本人として知っておくべきことが、書かれているので、是非読んでいただきたいと思う。

この本を読むと幕末の見方が変わると思う。

 

神戸沖洲会の交流掲示板 より

大黒屋仁兵衛氏 投稿日:2010年 6月 1日(火)13時39分20秒

 

バレーボールの時、先輩のNさんが、仁君こんな本が出たよ読んでみなさいと貸してくれました。

NHK大河ドラマ『竜馬伝』が人気を呼んでいますが、その時代の薩摩藩の財政を潤したのが奄美群島の砂糖。藩財政の5割以上をこの砂糖でまかなった歴史を紐解き、鋭く指摘している。

いい本です。奄美苦闘の歴史が、克明に記載され勉強になりました。ご興味のある方はお読み下さい。著者は奄美大島龍郷町出身です。

 

読売新聞 書評より

2010年5月17日

明治維新を成功させたのは薩摩藩の恵まれた資源=奄美の砂糖で得た財力! 幾度となく焦点が当てられてきた明治維新と薩摩藩だが、人間ドラマや政治的駆け引きという観点からのアプローチがほとんどだった。しかし本書は財政、つまり経済的切り口で描いた新鮮な一冊である。(アスキー新書、724円)

 

「日経BPnet 書評

あなどれない新書たち

薩摩藩の維新を支えた残酷な史実」より

(NPO連想出版 新書マップ編集部 川井 龍介氏)

2010年4月9日

奄美大島、あるいは奄美諸島と聞いて、すぐにはっきりとしたイメージを浮かべられる人は多くはないだろう。おなじ大島だからといって、伊豆大島と混同する人もいるくらいだ。

 昨年の夏は、皆既日食の絶好のスポットとしてその名前がメディアに登場した。最近では、沖縄の普天間基地の移転先の候補として、奄美諸島の一つ徳之島の存在が浮かび上がった。しかし、全体としてこの地域が話題になることはほとんどない。

 同じ南方の島々で、沖縄が太陽とするならば、奄美は月のようなイメージがある。その中心となる奄美大島は平地は少なく緑が濃く、瑞々しい亜熱帯の空気が漂う。島唄も本来は奄美で生まれた唄であり、そのメロディーも、どちらかといえば陽気な沖縄音楽に比べると、湿ったもの悲しさが印象に残る。

 この島唄のなかには、サトウキビをつくる際の辛い労働を表したものがある。長い間、薩摩藩によって支配されてきた奄美は、サトウキビをこれでもかというほど作らされ、納めるよう求められた。収穫するときは、土から上、ぎりぎりのところで刈り取るよう命令されたと、島の人に聞いたことがある。

 苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)を極めたこの支配は、奄美の人に薩摩に対する反発や怨恨を抱かせた。その反対に、薩摩はサトウキビによって巨大な財力を蓄えた。そして、この経済力をもとに戦艦を購入するなど近代化を進めやがて幕府を倒すまでになる。つまり、本書にあるように、明治維新には奄美の砂糖が一役買っているのだ。

 幕末、明治維新に詳しい人なら、この事実はよく知っているだろうが、一般にはサトウキビがこれほど力をもっていたことや、奄美が収奪されていたことを知る人は少ないだろう。本書の著者は、化学工学が専門の大学教授だが、両親が奄美大島の出身で母方の家系は琉球王の末裔である田畑家だという。

慶長14(1609)年、薩摩藩がそれまで琉球の支配下にあった奄美諸島に侵攻し、以後支配下に置く。

 「しかし、奄美侵攻は、奄美人以外多くの日本人は知らない。傷の痛みを訴えようにも、持っていきどころがない。ここに、悩みの深さがあり、先が見えない点がある」。著者は奄美にルーツを持つものとしてこう嘆いている。

 というのも、本書にあるようにその支配の方法は、本土(薩摩藩)と比べて著しく差別的であった。名前や容姿についてまで島の人間とわかるように決められた。稲作を禁じサトウキビだけを作らせ、通貨の代わりに砂糖を使わせるなどすべてが砂糖のため、といっていいほどだった。

 これほどまでにして獲得した砂糖の販売利益で薩摩藩は、軍艦の購入や近代的な工場の運営、あるいは留学生の派遣を賄い、また幕府から命じられた木曽川の治水工事もなんとか成し遂げたという。

 幕末、明治維新の物語は、「龍馬伝」や「坂の上の雲」などのテレビドラマの人気を見てわかるように日本人の心をかき立てる。大変革が成し遂げられ、あわせてその舞台にかかわるさまざまな人間ドラマが展開されるからだ。

 当然、そこでは英雄譚が目立つが、その陰には知られざる物語もまたある。企業やビジネスの成功でも同じだろう。「一将功成りて万骨枯る」というように、表舞台に立つ人間や組織に光があたる一方、奄美諸島の砂糖のように陰でそれを支えたものの辛苦もまたあるのだ。

 

関連投稿より

薩摩藩の奄美の黒砂糖収奪は奄美に「やんちゅ」をつくったこととともに、さすがに鹿児島では周知かもしれません。明治を経て今ではそういうことはなくなったようにみえますが、「薩摩人はエライ。奄美はエラクナイ」のような変な風習が見えない所に残っているのも確かなような気がします。哀しいです。しかし、奄美に限らず、権威側の語る歴史で育った私たちです。学校の勉強が終ったからこそ、色眼鏡をはずし、違った視点、きちんとした視点で国内の歴史や文化、地理を見直す必要があるのかもしれませんね。

奄美のお話をブログっていただいて、嬉しいです。奄美出身ではありませんが、哀しき薩摩人として謝罪の気持をこめて感謝致します。『奄美の債務奴隷 ヤンチュ』名越護著「南方新社出版」参照(2010年04月22日・十羅)

 

日本人は、凡そ1500年もの長い間、海で隔てられた島国の中で、皆で仲良くツーといえばカーの関係で暮らしてきた。内乱で領土を広げた武将等も、占領地の農民を収奪するよりも収益拡大のために領民の支持獲得に気を使った。その結果、日本人には敗戦後の過酷な圧制に苦しむ体験をしたことが殆どなく、見知らぬ人との間柄でもみんなで仲良くが通用すると思い、力ずくの交渉は避けて通る。

しかし、沖縄やここに取り上げられた奄美群島の方々は違う。沖縄と、その一部であった奄美群島は、島津の武力に屈服させられて収奪された歴史があり、それを恨む気持ちは現代の沖縄と奄美群島の人々に受け継がれている。

私は、島津(日本)による征服を恨む気持ちを首里城の展示から読み取った。独立王国の沖縄王朝は、島津藩と明治後の日本の侵略で滅ぼされたのである。その意識が展示の説明文の端々に読み取れる。

奄美群島の歴史は知らなかったが、島津という外国に侵略されて自由を奪われ、所得を収奪されたのだから、日本人の大半が持たない恨みの感情が残されているのは当然である。本土の日本人は、この感情をなかなか理解出来ないだろうと思う。(2010年04月16日・富士 望)

私も奄美にルーツを持つ者で、大江さんとは鹿児島関係の会合などでご一緒することがあります。専門の研究分野では、権威あるアメリカ化学協会の特別表彰を受けたこともある方だけに、奄美を愛する心とともに、学者としての実証的な分析が散りばめられていると推定します(これから購入して読むものですから)。サトウキビ栽培の厳しさは、西郷隆盛も、2度目に流された徳之島で、役人を相手に島民保護のための調停をしたという史実があります。現内閣のもと、奄美振興の公共事業予算は、沖縄はもとより、北海道、一般離島より大きな率で削減されました。そこに基地を移転しようと提案している永田町の人達は、かつて奄美(徳之島)に最前線の特攻基地があり、さらに戦後10年近くの間米軍の施政権下にあった事実を含め、島人達(シマンチュウ)の心情をどう理解しているのでしょうか。私は、奄美の振興は、農業と観光を核として、環境を合言葉に進める以外にないと信じています。(2010年04月13日・横田 捷宏)

 

関西在住 化学工学者 N氏より 

平成22年4月3日

全体から細部まで技術論文のように構成されておりすごく読みやすく興味も惹かれ、一気に拝読いたしました。

ことを成すには人物金が必要と当然のことで御座いますが、先生がこの本でご指摘されてますように、小生も幕末の時代小説を読んでいて、金を意識したことが御座いませんでした。

奄美の砂糖が無かったなら、奄美の凄まじいまでの勤勉さが無かったなら日本は植民地化されていたかも知れないと思うと、奄美の方々に感謝の気持ちが沸いてまいりました。

 

関東在住 化学工学関係者 K氏より

平成22年3月27日

本日、本屋さんで先生の著書『明治維新のカギは奄美の砂糖にあり』を発見致しました。以前、理科大の科学フォーラムに掲載されたものを更に深めたものですね。早速購入し、一気に読ませていただきました。

 

関東在住 化学者 K氏より

平成22年3月15日

読み進むうちに思わず引き込まれて、ああこんなこともあったのかと知らないことに対し知識が増えていくことが実感できる内容でした。著者注は丁寧すぎるほどの気配りで理解しやすくなっています。

封建時代の社会構造や庶民の生活がわかりますがなんとも胸のつまる切ない思いになります。もっとも大江さんは奄美人としての立場で私は薩摩人としての立場で読んでいることに気づきました。全体を通して客観的で、私情をはさまない記述になっていますので救われました。

 

アスキー新書 143

書名:明治維新のカギは奄美の砂糖にあり

ISBN 978-4-04-868410-4

著者:大江 修造

2010年3月10日 発行

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定価 760円(税込み)

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