「物性推算法」サンプルページ

第4章 蒸気圧

相平衡編

4.蒸気圧

水は50℃で92.5mmHgの蒸気圧を示し,100℃に温度を上げると760mmHgすなわち大気圧と等しくなり沸騰する.蒸気圧は温度に対して,指数関数的に増加する.液体はその分子の有するエネルギに起因する一定の蒸気圧を示す。物質の有する蒸気圧と周囲の圧力とが等しくなると,液内に気泡が発生して沸騰する.この周囲の圧力が1気圧のときの沸騰する温度を標準沸点という。

4.1 理論

液体が気体と平衡状態にあるとき,その気体の示す圧力を蒸気圧と呼ぶが,これは気体分子のもつ並進運動エネルギと分子間に存在する引力により説明できる.分子は並進運動エネルギを有しており,これによりあらゆる方向に運動しており,気体として存在している.並進運動エネルギは温度を上げると増加する.一方,分子間に働く引力によって分子間の距離が接近し,液体として存在する.分子間の引力は分子間の距離が接近すると増大し.ていき,ある距離で最大となる.その様子を図4.1に示す。横軸は分子間の距離を,縦軸は分子間エネルギを示している.分子間の距離がrmのとき分子間エネルギは最小となり,このとき分子間の引力は最大となる.分子間の距離がrm以下では引力は急激に減少し,分子間の距離がroではゼロとなる。さらに,分子問の距離を接近させようとすると,分子...

4.3.2 蒸気圧の推算式

前節に記した蒸気圧の表示式を臨界温度および標準沸点に適用することによって対応状態の形に書き換えることができる.したがって,臨界定数および標準沸点の値から蒸気圧を推算することができる.ところで,標準沸点は蒸気圧であるが,標準沸点も不明の場合には,標準沸点の値そのものを推算しなければならないが,その方法は分子構造に基礎をおいた方法となる.

4.3.2.1 アントワン式による推算

アントワン式の定数A,B,Cのうち,Cは標準沸点が0〜150℃の物質では230としてさしつかえないといわれている.そこで,Cを既知とすれば未知の定数はA,Bの2つとなり,2点のデータからA,Bが求まる.アントワン式を温度t1およびt2に対して適用し,そのときの蒸気圧をP1およびP2とすれば,A,Bは次式により求めることができる.

推算例

4.1 酢酸の沸点は118.1℃であり,17.11℃における蒸気圧は10mmHgである。(4.22)式によりアントワン定数を決定し42.44℃および79.12℃におげる蒸気圧を決定せよ.

4.2 イソブロバノールの沸点は82.5℃であり,分子蒸発熱は9580cal/g−molである。カリンゲール・デーヴィス式により155.7℃における蒸気圧を求めよ.

◎本章のポイント◎

アントワン式定数の推算法を含む蒸気圧の推算法10種を掲載.計算例10題を掲載

蒸気圧データ掲載

  • 有機化合物50種,1〜1000mmHg
  • 無機機化合物23種,1〜1000mmHg


本書の詳細を知りたい

本書の使われ方を知りたい

読者の反響

 


Copyright © Shuzo Ohe 2016 All rights reserved