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第6章 比 熱

熱物性編

6.比熱

物質の温度を加熱により上げたり,あるいは冷却により下げたりする場合に,同一の熱量を加えても,物質により最終の温度は異なる.これは,物質により「熱容量」が異なるためである.物質1gあたりの「熱容量」を比熱と呼ぶ.物質に熱量を与えたときに,物質の温度が上昇する場合と変わらない場合とがある.前者は,相が変化しない場合であり,後者は,相が液体から気体ヘ,あるいは固体から液体へと変化する場合である。相変化のない場合に与えた熱量は,温度上昇の形で顕われるので顕熱といわれ,相変化のある場合に与えた熱量は,温度上昇をもたらさないので潜熱といわれる.潜熱については次の7章で説明する。

6.1 理論

比熱は,物質1gの温度を1℃上昇させるのlこ必要な熱量として定義される。水1gを基準にとり,この水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量を1カロリーと決める。比熱の単位はca1/g℃である.一定量の物質の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量を一般に,熱容量と呼ぶ.1g−mo1の熱容量のことを分子熱という.理論的な取扱いや推算の場合に分子熱で議論し,実務の場合に比熱を用いることが多い.気体の比熱は,液体の比熱とは大幅に異なり,かつ圧力一定の下で加熱する場合と容積一定の下で加熱する場合によっても異なる.圧力一定の場含の比熱を定圧比熱と呼び,一般にCpで表わし,容積一定の場合のそれを定容比熱と呼ぴ,一般にCvで表わす。定圧下で気体に熱量を与えると,熱量の一部は気体の膨張に消費されるが,定容下の場合には...

6.3 比熱の推算法

6.3.1 純粋気体の比熱の推算

気体の比熱は温度および圧力により大きく変化する.したがって,気体の比熱は理想気体と実在気体との場合を区別して取り扱う.一方,液体の比熱は温度によって変化するが,圧力の影響はほとんど受げない.メタンの分子熱を図6.4〜6.6に示す。定圧分子熱と定容分子熱とでは温度および圧力の影響が明確に異なることがわかる.定容分子熱の場合は,図6.4から,圧力の上昇に対して,増加するのみであるが,定圧分子熱の場合は,図6.5から,単純ではなく,極値が存在している.定圧分子熱の場合,さらに,同一のデータを温度に対してブロットしてみると,図6.6に示すようになる.低圧と高圧との場合は,分子熱は単調に増加しているが,臨界圧力...

【6.3】エタノールの500Kにおける理想気体状態の定圧分子熱をその化学結合から推算せよ.

【解】リハニ・ドライスワミの原子群加算数値により求める.エタノールは,

CH3−CH2−OH

の原子群からなるので,表6.6に示した各原子群に対する係数を加算する...

◎本章のポイント◎

比熱を化学構造式から求めます

比熱データを掲載

  • 各種理想気体12種の比熱
  • 有機化合物11種の沸点における比熱
  • 無機化合物12種の液体状態における比熱
  • 各種固体24種の比熱

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