東京理科大学 教授 大江修造著「物性推算法」 見本

第11章 表面張力

11.表面張力

物質は気体,液体および固体の状態で存在しているが,気体と液体あるいは液体と固体などが共存している場合もある.気体と液体とが共存している場合,気体と液体とが接触する境界があるが,これを一般に「界面」と呼び,特に気体と液体との「界面」を表面という。最も身近な「表面」は,空気中に置かれたコップ内の水面である.ところで,水はあるときは水滴となり,あるときは毛管現象により管内を上昇する。これは水の表面にある「カ」が作用しているためであり,この力を表面張カと呼んでいる。水が毛管現象により管内を上昇するのは,管内の周囲で水を引っ張りあげる力が作用していることによるが,20℃の場合,この力は周囲1cmあたり,72.75dynとなる。これは,内径1mmのガラス管内の水を14.8mm引き上げる力である。

11.1 理論

気体に接する液体の表面は,あたかも薄い膜に覆われているかのような力が作用するが,そのカの原因は分子の引力である.気体の「表面」は分子の密度が小さいので,液体の表面のような張力は存在しない.液体中に毛細管を直立させると,図11.1に示すように,液体が上昇して,ある位置で止まる。これは管内の液柱が,張力のある膜で引っ張り上げられているのと同しである.図11.1のAの部分で考えると,上向きの矢印で示した力が作用して,高さhの液柱を引き上げていることになる.単位長さあたりの力をσとすると,全周では2πrσの力が作用し,これが引き上げられている液柱の質量πr2hρに作用する重力と釣り合っているから,

   2πrσ=πr2hρg        (11.1)

が成立する。ただしρは液体の密度,rは毛細管の半径,hは液柱の高さであり,gは重力の加速度である。これから...

推算例

【11.1】ペンゼンの20℃における表面張カを対応状態原理により求めよ.

◎本章のポイント◎

表面張力をパラコール・対応状態原理などから求めます.

計算例5題を掲載

表面張力のデータを掲載

  • 無機化合物25種の一定温度における表面張力
  • 有機化合物14種の各種温度における表面張力


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