東京理科大学 教授 大江修造著 「物性推算法」見本

第9章 熱伝導度

9.熱伝導度

1本の鉄俸の一端を加熱すると,他の一端も次第に温度が上昇してくる。熱を鉄棒が伝わった結果である.この熱の伝わり方は,鉄と銅とでは異なるように物質に固有である。この熱が物質内で高温から低温に伝わる現象を熱伝導と呼び,熱伝導が良いか悪いかを示す値を熱伝導度という。銅は鉄より熱を伝えやすく,銅の熱伝導度は鉄の約6倍半である.断熱材の熱伝導度は低く,例えばアスペストの場含,鉄の約1/500である.

一般に,熱伝導の最も良いのは固体であり,液体,気体の順に悪くなる。熱伝導度の概念は固体の場合が理解しやすく,液体や気体の場合は対流によっても熱が伝わるので埋解しにくい.液体や気体の場合は対流の影響を除くことにより熱伝導度を測定できる。

9.1 理論

温度の高い物質と温度の低い物質とを接触させると,両物質の温度は次第に変化し,ついには同一となる.この現象を理解するために「熱の伝達」という概念が必要となる。すなわち,「熱」が伝わった結果,両物質の温度が同一になったと解釈する.熱伝達の概念を分子レペルで考えると,熱伝達は分子の衝突によるエネルギの伝達ということになる。気体・液体・固体のそれぞれの状態により分子の運動の種類が異なるので,熱伝導度は物質の存在状態により異なり,温度や圧力による影響のうけ方も変わる.

一般に,熱伝導度も粘度の場合と同しように,常圧では温度の上昇により,気体では増加し,液体では滅少する.しかし,例外的に液体の熱伝導度は温度の上昇とともに増加し,ある温度以上では減少する場合がある.例えば,水は125℃で極値を示す。液体の粘度は,温度の上昇により急激に低下するが,液体の熱伝導度はゆるやかに滅少する。気体の熱伝導度は,低圧では温度の上昇により増加するが,その増加率は圧力の上昇により次第に滅少する.圧力が上昇して,ある圧力に達すると熱伝導度は温度に対して一定となる.さらに圧力が上昇すると,気体の熱伝導度は液体の場合と同しように温度の上昇により滅少する。

推算例

【9.1】エタノールの400Kにおける低圧気体の熱伝導度をオイケンの式により求めよ.

【9.2】エタノールの400Kにおける低圧気体の熱伝導度をロイ・ソドスの式により求めよ.

◎本章のポイント◎

熱電導度を化学構造式,比熱,臨界定数などから求めます.計算例6題を掲載

データ掲載

  • 気体12種の-50〜200℃おける熱電導度
  • 液体12種の20〜100℃おける熱電導度


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